2010/12/03

第17回MS 藁科 孝久氏氏/みんなが喜ぶ仕組み作り~湘南みかんパートナーシップ~

タイトル:みんなが喜ぶ仕組み作り~湘南みかんパートナーシップ~
講師:藁科 孝久氏氏/NPO法人湘南スタイル 理事長
日時:2010年12月3日(金)6:30~7:30
会場:逗子キングプラザ4F

本日はNPO法人湘南スタイルの理事長、藁科孝久氏を講師にお招きした。当会会員のA氏が湘南スタイルのメンバーとなっており、そのご縁で今回のセミナーが実現した。

藁科氏は大学卒業後、大手アパレル会社へ就職し、25歳で独立起業し女性向け衣料品製造販売会社の経営者となった。創業時から、業績は右肩上がりで伸び続け、創業10年で10億企業に育て上げた。その後、大手デパートへの出店依頼や株式上場の話まで飛び込むようになったが。創業から10年以上が経ち、企業規模も大きくなるにつれて、売上至上主義になってしまっていた事に疑問を抱くようになった。創業当時の藁科氏は、お客に喜んでもらうこと、ファンになってもらう事に専心し、ファンが増えて行く事にやりがいを感じていたが、いつの間にか、利益と規模の追求を追
い求めるようになり、その当時の気持ちを失いかけていた。氏は当時の熱い情熱をもって再度事業にチャレンジしたいと考えた。そして氏を含めて団塊の世代が失ってしまった地域コミュニティーとの繋がり、そして共生を実現する事の出来る事業を。それが「湘南スタイル」だった。氏は2005年に「NPO法人湘南スタイル」を設立し、理事長に就任した。翌年、長年経営していたアパレル企業を社員の方々へ譲渡し現在は「湘南スタイル」に精力を傾けている。

「湘南スタイル」は"地域貢献・社会貢献や人間関係の形成を基盤とする「持続可能な社会づくり」 の実現に向け、地域の活性化活動と自己実現を共生させる研鑚の場として"設立された。素晴らしい理念の元に設立された事業ではあるが、これまでの道のりは平坦ではなかった。昨今ようやく採算ラインが見えてきたというが、これまで多くの資金を自ら投入して来たきた。様々な試行錯誤の中から、辿り着いたのが「食」だった。湘南スタイルはNPO法人であり、ボランティアで様々な人や企業たちが参加している。この人や企業が「湘南スタイル」との間でギブ&テイクできる仕組みが「食」にあるのだそうだ。現在湘南スタイルが推進しているプロジェクトはいくつかあるが、今回のテーマとなっている湘南「みかんの木」パートナーシッププログラムは、「みかんの木でみんなが喜ぶ!」をキャッチフレーズに農家と参加者、そして地域社会、三方よしの循環を実現するスキーム。神奈川県内のみかん農家数はこの20年で約半分以下に減少し、2005年時点でみかん農家数は3,201戸、栽培面積は1106haとなっている。一本の木の収益は8千円程度となっていて、生産コストとのバランスが崩れつつあることから、後継者不足、転業、廃業、荒廃農園の増加と言った負のスパイラルが広がりつつある。そのような問題を解決する可能性を大いに含んでいるのが、このプログラムだ。一口31,500円の参加費で、みかん収穫体験に参加でき、みかん約400個(50kg)を持ち帰れるばかりか、摘果みかんや出荷不適格みかんから作られるジャムやアイスクリーム、ドレッシングやフレッシュなどの加工品までもらえてしまう。また、社会貢献(CSR)や地域貢献、農業保全などの身近な貢献ができる。農家の方々は今まで売り物にならなかった摘果みかんなどが加工品になる事で、収益増が見込め、その地域活性化にも繋がる。正に負のスパイラルから富のスパイラルへの変換である。この事業は神奈川県の重点事業としても採用され、農業振興の新たなるスキームとして注目されている。近日、松沢知事も視察に訪れるそうだ。その他、湘南スタイルでは、地元茅ヶ崎産のお米を非常用のおかゆとして加工販売し、一反あたりの売上を飛躍的に向上させる事に成功した。また地元産の規格外人参から作った焼酎「さん」はNHKでも取り上げられ、売り切れとなった。

様々な斬新なアイデアで地域活性化を行うNPO法人湘南スタイルの成功事例は、ひいては日本の地域社会、農業、食文化の救世主ともなりうる可能性を秘めていると感じた。藁科理事長の企業人としての豊富経験は、NPOとしての活動にも大いに生かされており、NPO法人のお手本にもなりうるではないだろうか。湘南地域は全国でも有数のブランド力を持っていると思うのだが、それを充分に生かしきれていないのではないだろうか。湘南スタイルの新しいやり方は、湘南ブランドの確立にも一番近い位置にいるように思えた。

藁科理事長の印象深い言葉を明記しておきたい。あるセミナーでお聞きになった話だそうだ。あなたはあげる人生ともらう人生のどちらが良いでしょうか?とその講師の方は参加者に尋ねたそうだ。自分がそうできているかは別にして、多くの方はあげる人生が良いと答えると思う。しかし、その講師の方は、私はもらうばかりの人生を歩んで来たと言ったそうだ。何かをあげる、何かをしてあげる、確かに素晴らしい事だが、どうも上から目線であり、自己満足になりがちである。そうではなく、何かを、させてもらうというスタンスで物事を考えると感謝の気持ちを持つことができるのだそうだ。正に眼から鱗である。今後はもらう人生を送って生きたいと感じた。

今後も「湘南スタイル」の活動からは目が話せない。同じ湘南地区の倫理法人会に所属するものとして、「湘南スタイル」の活動を応援して行きたいものである。藁科理事長、新しい気付きを頂きありがとうございました。

【リンク】
NPO法人湘南スタイル

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