2011/02/18

第27回MS 高橋 良治氏/いい事だらけの障害者雇用

タイトル:いい事だらけの障害者雇用
講師:高橋 良治氏/株式会社バニーフーズ 代表取締役
日時:2011年2月18日(金)6:30~7:30
会場:逗子キングプラザ4F

本日は当会会員でもある株式会社バニーフーズ代表取締役 高橋良治氏を講師にお迎えした。高橋氏は鎌倉材木座にて手作り弁当バニーを経営している。バニーフーズは創業25年を超え、地元では有名なお弁当屋さんである。当会でもイベント時のケータリングサービスなどでいつもお世話になっている。

高橋社長は昨年2010年の4月に障害者雇用を目的とした株式会社ラビーを設立し、成功を収めており、多方面から注目を浴びている。今回は障害者雇用の効用についてお話をお聞きした。

高橋社長曰く、「障害者の方々は何かをしてもらう事からではなく、働くこと、誰かに必要とされ役にたっている事で喜びを得る事が出来るのではないだろうか。彼らは職場にいる時は、家や施設にいる時と比べ物にならないくらい生き生きしている。」のだそうだ。

高橋氏は現在のように障害者雇用を行う、ずっと以前に一度、知恵遅れの男の子を採用した事がある。近所の方から自分の息子をぜひ雇って欲しいとの願いを聞き入れたのだ。しかしその当時は、本人も失敗が多く、周りも受け入れ態勢が出来ておらず、上手く行かなかったそうだ。当時お母様からの忠告もあり、もう二度と障害のある方を採用するのは止めようと思っていたそう。

しかし、障害者雇用のパイオニアと言われる新潟県基準寝具株式会社の渡辺トク氏の話を聞く機会があり、その認識は180度変わり、ぜひ自分でもやってみようという気持ちになったそうだ。

その後、今から8年前の平成14年に県の就労支援センターから、障害者雇用の依頼があり、鎌倉山にある障害施設から40代の女性が研修に来ることになった。当初は不安もあったものの、最終的にその方を雇用した事で、予期しない効果が現れた。当時の社内は女性同士の派閥抗争が激しく険悪な雰囲気が漂っていた。障害を持つ彼女が入社してからは、皆が協力して働くようになり喧嘩が無くなった。

その翌年には30代の女性を雇い、その方から、仕事が楽しくてしょうがないと感謝のされ、少しづつ障害者雇用の効果を実感できるようになっていたが、良い事ばかりではなかった。
手洗いをする場所を徹底できていなかったため、固形の石鹸がお弁当の中に入ってしまい、大きなクレームを受けたり、障害者の方の面倒を見る係りの方が、ストレスで辞めてしまったり、頑張ってと言う声をかけると頑張りすぎててんかんを起こす子など・・・

しかしその後、ひとつの転機が訪れる、前出の障害施設へ下請けとして、料理の下準備などの業務を依頼していたが、営業許可などの関係から、業務を続行する事が出来ないと言われ、自社で行う必要が出てきた。

その頃丁度、同友会の講演会で、リーマンショック後に仕事が激減したが、この制度を活用し、解雇ゼロで難局を乗り切った(有)ヨシダ精工 吉田 周生氏の話を聞く機会があり、この事業の成功を確信。高橋氏は「就労継続支援A型」の事業所である株式会社ラビーを2010年の4月に立ち上げ、現在知的障害の方を20名、精神障害の方を6名~7名雇用しているだ。

就労継続支援A型とは

障害者の雇用機会の拡大などを目指す事業として、2006年施行の障害者自立支援法で定められた。指定を受けた事業所は障害者と雇用関係を結び、最低賃金を保障する。社会保険の加入も義務付けられる。事業形態に応じた給付金が支払われ、国が半分、都道府県と市町村が4分の1ずつ負担する。申請には事業計画や収支見込み、職員の配置や作業場の間取りなどの書類が必要。ほかに雇用関係を結ばないB型がある。( 2011-02-08 朝日新聞 朝刊 1社会 ) 


中学受験がきっかけで発病し、幽霊のように暗い顔をしていた女の子が明るく元気に仕事をしている。親御さんからは、発病前の娘が帰って来たようだと感謝されている。
 
その他にも同様の例は事欠かないそうで、彼らは働ける場所さえあれば、立ち直る事ができると、高橋社長は熱く語る。
 
現在障害を持つ方々(知的・身体・精神)は350万人以上と言われているが、実際は障害者手帳を持っていない人を含めると1,000万人以上ではないかという人もいるそう。県下の養護学校は満杯でその数は不足している。また施設に入所した場合、就労する確立は2%に満たないとの統計があり、彼らが18歳~65歳まで就労せずに施設で過ごした場合、生涯に2億円の費用がかかると言われているそうだ。
 
高橋社長は障碍者雇用はやめられないと語る。非常に前向きな意味でだそうだ。以前にファンケルスマイルの前社長浅井氏に教わった事があるそうだ。

高橋氏の職場で働く障害者たちは非常に生き生きと働き、元気になっていく。それを目の当たりにした、高橋氏は自社のような働く場が増えることで、障害者の方々と事業者のWin-Winの関係が気付築けると確信している。実際に高橋氏も、本人からも家族からも感謝され楽しい毎日を過ごしているそうだ。障害をもつ人々も会社も国も皆が喜べるWin-Win-Win-Winの関係が更に広がることを願うばかりである。

企業としての社会的貢献を果たし、事業も順調に展開をしている高橋社長の株式会社ラビーはまさに21世紀型のモデル企業であり、「日本でいちばん大切にしたい会社」のひとつであると確信する。今後の更なる発展を期待するばかりである。

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